クグったのはあいつだ 後編


前回のコラムにて、宮城県の入札率の低さが全国ワースト3であったという話をしたのだが、今回は背景と「クグる」を紐づけてみることにする。

電子入札の開始は平成17年頃だったが、それ以前は、ほぼ全ての建設工事入札において指名競争制度が適用されていた。

工事入札にはいくつか種類があるのだが、大きくは2つに分類され「一般競争入札」「指名競争入札」に分かれる。

一般競争入札は、その発注自治体に事業所を有し、入札条件をクリアした者ならば誰でも入札できる制度で、ターゲットが広範囲に設定される。

指名競争入札は発注自治体が、特定の業者を指名しターゲットを絞って入札が行われる制度だ。

私の経験してきた入札会場では、定刻の入札時間になると入札会場が開場し入場すると、自治体が指名した業者の名札の置かれた机と椅子が用意されており、指名業者が一目で把握できる状態が慣例だった。

そしてほとんどの自治体が、毎回同じ業者を指名する。

つまり次回の入札の際は、誰が入札されるのかが容易に想像できるシステムが指名競争入札なのである。

田舎の自治体になるほどに業者の数も、人口に比例して少なくなり、その上に入札の段階で配置技術者が他の現場で稼働しているとなると

「今回は忙しいからアンタの会社で落札して下さいな」

となるのは至って普通のこととなると思うのだが、これが「談合」となり罰せられることになるのでる。

私も聞いた話だが、談合が事前に行われて、落札業者が事前に想定されるケースをいくつも見てきた。

その反対のケースが「談合やぶり」である。

事前に打ち合わせしていた入札価格よりも安い金額で入札するのである。

入札会場は一瞬ざわつく。

「〇〇がクグりやがった!」

「クグったのはあいつだ!」

心に思っても口には絶対出せない、一瞬の緊張が走る。

大概の談合やぶりは、手持ち工事の少なさから、工事前渡金目当てに行われるケースが多いが、中には私怨というケースもある。

新聞沙汰になるのが後者のケースである。

談合により事前に決められていた業者をマルホン(本命)というのだが、その本命業者だったものが新聞社等にリークして発生するのである。

現在は一般競争入札が多く適用されるようになり、昔と違って

「あいつクグりやがった!」

というケースは無くなった?のだろうか。

過去に工事積算や入札を行っていた経験者であれば、談合の形跡は入札結果を見れば大概は判断可能である。

しかし本当に談合は悪いことなのだろうか。

技術者不足や高齢化が深刻になる中で、本来のインフラ整備に投じられる自治体の予算がダンピングにより下げられて、手抜き工事となれば本末転倒となり、設計価格自体に疑義が生じるのである。

週休2日の制度もしかりだが、日本のお家芸であったはずの建設技術は今どこへ?

今こそしっかり現実と向き合い、将来を見据えた建設業の改革が必要である。

 

クリエイトワークスのページ「いいね!」はコチラ


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)